翠月の零れる呟き

日常の呟き

『今更やっと』




「置いていかないで」


あの時の

あの言葉



強い風のせいにして

聞こえないふりをした


目の前の1つ1つ

砂粒みたいなキラキラが


どれほどまでに大切か

どれほどまでに儚いか


気付くことすらできなくて

次へ前へと生き急いでた


振り向きもせずヒラヒラと

揺らした手のひら


何年も経った今

同じ掌を重たい空に翳した


大きな翼を広げて

漂いながら遠退いていく鳥


あの日みたいな強い風に

小さく呟いてみた


「置いていかないで」


あの言葉の寂しさを

あの言葉の苦しみを


今更

やっと気付いたよ


今更

とても悲しくなった

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