翠月の零れる呟き

日常の呟き

『夢か現か幻か』





雨粒が空へ

吸い込まれていく


砂粒が波へ

引き込まれていく


探す

探す


流されないよう


それは幻

これは現


境目があやふやで

歪み崩れてく


その手は掴んでも

いいのだろうか?


この手は離しても

いいのだろうか?


夢か現か幻か


怪しく浮かんで

儚く消える


心の声を

己の声を


探す

探す


流されないよう


それは夢

これは現

あれは幻


深く息を吸って

細く息を吐ききって


心の深くに潜む声


探す

探す


流されないよう


夢か現か幻か


己に何度も

繰り返す



心の一番深い

その一番暗闇のところ


探す

探す


流されないよう

『命のライン』





このラインが

命のライン


多分


何の勇気も

何の勢いも

何の理由も要らない


諦めた夢を

ぼんやり眺めながら

歩き進むだけ


奈落の底に

あの世の果てに


いとも容易く

落ちることができるだろう


立ち止まった瞬間

このラインに見えない壁


きっと


立ち止まることが

できたなら


ほんの少し

ラインは先へ移動する


鳥の鳴き声

雨の匂い

風の音

波の音


どれか一つが

壁を作ってくれる


足を掬われることなんて

生きてたって

そこら中に溢れてる


「なんで?」

「どうして?」


頭を掠めたら

歩くことも覚束ない


何も深く考えず

心臓が動いてるみたいに

呼吸をしてるみたいに


日めくりを

めくっていくように

1日1日をやり過ごす


それができるかできないか

紙一重の世界


ちぎれかけた命の糸

強い風に揺れる



命のライン

少し遠退いた


踵を返し

少し遠ざかる


もう少し

歩いてみよう

『くそったれの世界』





「あ~あ


まったく

まるっきり

何もかもが



くそったれの世界」



そんな言葉が

心から零れ落ちた



知らない間に

春が通り過ぎてる


矛盾だらけの世界

嘘ばかりの世界


くそったれの世界