『命のライン』
このラインが
命のライン
多分
何の勇気も
何の勢いも
何の理由も要らない
諦めた夢を
ぼんやり眺めながら
歩き進むだけ
奈落の底に
あの世の果てに
いとも容易く
落ちることができるだろう
立ち止まった瞬間
このラインに見えない壁
きっと
立ち止まることが
できたなら
ほんの少し
ラインは先へ移動する
鳥の鳴き声
雨の匂い
風の音
波の音
どれか一つが
壁を作ってくれる
足を掬われることなんて
生きてたって
そこら中に溢れてる
「なんで?」
「どうして?」
頭を掠めたら
歩くことも覚束ない
何も深く考えず
心臓が動いてるみたいに
呼吸をしてるみたいに
日めくりを
めくっていくように
1日1日をやり過ごす
それができるかできないか
紙一重の世界
ちぎれかけた命の糸
強い風に揺れる
命のライン
少し遠退いた
踵を返し
少し遠ざかる
もう少し
歩いてみよう