『ああ、夢でよかった』
「ああ、夢でよかった」
目覚ましより少し早く目が覚めた
又ひとつ
不可能が増えるところだった
なんて嫌な夢なんだろう
今の現状からさほど遠くない
だからこそ苦しい気持ちになった
ワクワクして嬉しくて
手を伸ばしたら触れそうな距離で
儚く崩れ落ちて目が覚めた
夢じゃないのかもしれない
あやふやな気持ちが何よりも苦しくて
それこそが悪夢だと
新品の朝一番に
心がくしゃくしゃになった
「ああ、夢でよかった」
とりあえず気休めでも大きな声で
自分自身に言い聞かせるように繰り返す
「ああ、夢でよかった」