翠月の零れる呟き

日常の呟き

『ただ生きる』




わずかに残り

冷たい風に揺れる紅い葉


春は溢れる花で

息詰まる世界を

桜色に染め


夏は眩しい青葉で

蝉時雨のなか

暑さに耐え


こうして


なにも変わらない

灰色の世界


北風舞い散る

儚い彩り


ただひたすらに

愚痴も溢さず

ため息もつかず


ただ生きる


春霞の中

夏の蒼い空の下

秋の穏やかな夕暮れ

冬の冷たい風



ただひたすら

生きてる


ありがとう


何一つ挫けず

春に又


天晴れと

花を咲かせる


ただひたすらに

ありがとう

『今更やっと』




「置いていかないで」


あの時の

あの言葉



強い風のせいにして

聞こえないふりをした


目の前の1つ1つ

砂粒みたいなキラキラが


どれほどまでに大切か

どれほどまでに儚いか


気付くことすらできなくて

次へ前へと生き急いでた


振り向きもせずヒラヒラと

揺らした手のひら


何年も経った今

同じ掌を重たい空に翳した


大きな翼を広げて

漂いながら遠退いていく鳥


あの日みたいな強い風に

小さく呟いてみた


「置いていかないで」


あの言葉の寂しさを

あの言葉の苦しみを


今更

やっと気付いたよ


今更

とても悲しくなった

『僕の心』




冬からずっと

心も身体も

縮こまって怯えてる


「暖かくなったら」

「暑くなったら」

「涼しくなったら」



何も変わらない

苦しくなるだけの世界


正しいか間違いか

白か黒か


徹底的に攻撃したり

とことん追い込んだり


思ってた以上に

冷たくて残酷な世界


心が折れた

月の綺麗な夜更け


心地いい夜風と

突き抜ける夜空


銀色に輝く月

見上げていたら


ポキンと響いた

僕の心


ずっと震えながら

耐えてた心



ポキンと折れた


「大丈夫」でなきゃダメ

「元気だよ」でなきゃダメ


僕はそこまで強くない

それともここまで頑張った?


もはや


何に怯え

何を怖がっているのかすら

見失ってしまった闇


あっち側へ飛び立つ命

こっち側で苦しむ命


どっちの命が正しいか?

どっちの命が強いのか?


それすらも

今の僕には解らない


時々呼吸のしかたを

忘れてしまう


どっち側かのラインが

あやふやになってる


ほんの少し

踏み外すだけで


簡単に

あっち側へ行けそう


今の僕に

こっち側の世界は


苦しくて孤独です



それでも僕の心は

小さく震えて生きてます